「ファクタリングを使ったはいいけど、帳簿にどう書けばいいの?freeeにも弥生にも『ファクタリング』なんて科目ないんだけど」
こういった記帳の困りごとに答えます。
結論、ファクタリングの仕訳は「売掛金を消して、差額を売上債権売却損として経費計上する」だけです。
30万円の請求書を手数料10%で売った実例で、入金から精算まで全部の仕訳を見せます。
手数料相場の記事で「手数料は経費になる」と書いた、その実務編です。
なお、個別の税務判断は最終的に税理士・税務署への確認をおすすめします。
結論の仕訳早見表!30万円を手数料10%で売った場合
前提: 請求書30万円、手数料3万円、買取代金27万円が入金されるケース(2社間)。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 売上発生時(請求書発行) | 売掛金 300,000 | 売上高 300,000 |
| 買取代金の入金時 | 普通預金 270,000 / 売上債権売却損 30,000 | 売掛金 300,000 |
| 取引先から入金時(回収代行分) | 普通預金 300,000 | 預り金 300,000 |
| ファクタリング会社へ送金時 | 預り金 300,000 | 普通預金 300,000 |
ポイントは2つ。
売上高は請求書どおり30万円のまま変わらないこと。
手数料の3万円は「売上債権売却損」という経費になることです。
以下、それぞれの行を分解して解説します。
基本の考え方!ファクタリングは「売掛金の売却」として記帳する
ファクタリングは借入ではないので、借入金という科目は登場しません。
売掛金という資産を、額面より安く売った取引として記帳します。
| 取引の実態 | 帳簿上の表現 |
|---|---|
| 30万円の売掛金を手放した | 売掛金30万円の消滅(貸方) |
| 27万円の現金を受け取った | 普通預金27万円の増加(借方) |
| 差額3万円は売却のコスト | 売上債権売却損3万円(借方・経費) |
この3点セットで、1本の仕訳が完成します。
仕組みの理解があいまいな人は、ファクタリングの仕組み記事を先に読むと、この仕訳が「取引の写し絵」だとわかるはずです。
「売上債権売却損」がソフトにない場合!科目の代用ルール
freeeや弥生などの会計ソフトに、売上債権売却損の科目が初期設定でないことがあります。
対応は2つです。
1つ、勘定科目を新規作成する(経費・営業外費用系として追加)。
2つ、既存科目で代用する。
| 代用科目 | 使い方 |
|---|---|
| 支払手数料 | 摘要に「ファクタリング手数料」と明記 |
| 雑費 | 金額が小さい場合の簡便処理 |
どの科目を使うかより大事なのは、摘要欄に取引の内容を書くことと、一度決めた処理を毎回続けること(継続性)です。
「◯◯社ファクタリング利用・請求書◯月分」と摘要に残しておけば、後から見返しても税務調査でも説明に困りません。
2社間特有の仕訳!「取引先からの入金」は自分のお金ではない
2社間ファクタリングでは、本来の入金日に取引先からあなたの口座へ30万円が入ります。
ここで売上に計上してはいけません。
売上は請求書発行時に計上済みで、この30万円はファクタリング会社に渡すお金だからです。
帳簿上は「預り金」として受けて、送金時に消します。
| 場面 | 仕訳 |
|---|---|
| 取引先から入金 | 普通預金 300,000 / 預り金 300,000 |
| 会社へ送金 | 預り金 300,000 / 普通預金 300,000 |
この処理を飛ばして売上に二重計上すると、所得が30万円過大になり、余計な税金を払うことになります。
ファクタリング仕訳の最頻出ミスなので、ここだけは必ず押さえてください。
消費税の扱い!非課税取引としての税区分
ファクタリング(金銭債権の譲渡)は消費税の非課税取引です。
国税庁の質疑応答事例でも、金銭債権の買取りに関する課税関係が整理されています。
記帳実務への落とし込みはこうです。
| 項目 | 税区分 |
|---|---|
| 売上債権売却損(手数料相当) | 非課税(課税仕入れにならない) |
| もとの売上高 | 通常どおりの課税区分(取引内容による) |
手数料を課税仕入れとして処理すると、消費税の計算がズレます。
会計ソフトでは税区分を「非課税」または「対象外」系に設定してください(ソフトの区分名称に従う)。
なお、原則課税で消費税を申告している方は、金銭債権の譲渡に伴う課税売上割合の計算に特例的な取り扱いがあるため、該当する場合は税理士に確認するのが安全です。
免税事業者・簡易課税の方は、実務上の影響はほぼありません。
よくある仕訳ミス3つ!チェックリストで防ぐ
| ミス | 正しい処理 |
|---|---|
| 買取代金27万円を売上に計上 | 売上は請求書発行時の30万円のみ |
| 手数料3万円の計上漏れ | 売上債権売却損として経費計上 |
| 取引先からの入金を売上に二重計上 | 預り金で受けて送金で消す |
3つとも「所得を実際より大きく見せてしまう」方向のミスです。
つまり防げば防ぐほど、払う税金が正しく(少なく)なります。
手数料の経費計上は、ファクタリングのコストを少しだけ取り戻す最後の工程だと思って、丁寧にやりましょう。
応用編!3社間の場合と、掛け目で留保金がある場合
基本形を押さえたら、2つの応用パターンも見ておきましょう。
3社間ファクタリングの仕訳:預り金の処理が消える
3社間では、取引先がファクタリング会社に直接支払うため、あなたを経由するお金がなくなります。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 売上発生時 | 売掛金 300,000 | 売上高 300,000 |
| 買取代金の入金時 | 普通預金 270,000 / 売上債権売却損 30,000 | 売掛金 300,000 |
以上、2本で終わりです。
預り金の行が丸ごと不要になるため、記帳はむしろシンプルになります。
掛け目がある場合:留保金は「未収入金」で管理する
掛け目90%の契約では、買取対象が27万円(30万円×90%)になり、残り3万円は売掛先の入金後に精算で戻る建て付けがあります。
| タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 買取代金入金時(手数料10%と仮定) | 普通預金 243,000 / 売上債権売却損 27,000 / 未収入金 30,000 | 売掛金 300,000 |
| 留保金の精算時 | 普通預金 30,000 | 未収入金 30,000 |
留保金を経費や損失にしないこと。
あとで戻ってくるお金なので、未収入金という資産で管理します。
契約書の掛け目と精算条件を確認して、自分の契約がどちらの型かを把握してから記帳してください。
まとめ:仕訳は3点セット。売上そのまま、売掛金消して、差額は経費
- 基本形は「普通預金+売上債権売却損/売掛金」の1本
- 売上高は請求書どおり。買取代金を売上にしない
- 科目がないソフトでは支払手数料等で代用可。摘要と継続性が大事
- 2社間の取引先入金は預り金処理。二重計上が最頻出ミス
- 手数料は消費税非課税。原則課税の人は課税売上割合の扱いを税理士に確認
仕訳ができたら、次は年に一度の総仕上げです。
確定申告書のどこに書くのか、申告全体での扱いを次の記事で解説します。
→ ファクタリングと確定申告!個人事業主の売掛債権売却損の書き方と消費税の扱い
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対策キーワード: ファクタリング 個人事業主 仕訳/勘定科目
内部リンク設計: 冒頭=KEY5/本文=KEY60,2/末尾=KEY60
– 内部リンク設計準拠: 冒頭=KEY5(tesuryo)/本文=KEY60(shinkoku),KEY2(shikumi)/末尾=KEY60 ✓シート③どおり(記事末はブログカード化推奨)
– 外部リンク1本: 国税庁 質疑応答事例(金銭債権の買取り等に対する課税関係)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/06/03.htm(確認日2026-07-11)
– 課税売上割合の特例(対価の5%算入)は「特例的な取り扱いがある」に留め、具体的な割合は記載せず税理士誘導(YMYL配慮・消費税法施行令48条の詳細には踏み込まない)
– 仕訳例は一般的な処理方法。会計ソフト・税理士により科目運用が異なる旨は本文冒頭の免責でカバー
